合同会社の税務上のポイント(業務執行社員の給与の取り扱いなど)

公開日: : 最終更新日:2015/05/20 合同会社の税務

今回は合同会社の税務上のポイントを簡単にご説明します。

合同会社は、株式会社と同様に法人税法の適用を受けるため、原則各事業年度終了の日の翌日から2か月以内に法人税の確定申告書を提出する必要があります。提出書類に関しても、実質株式会社と同様になります。税務上も、株式会社とほぼ同様に取り扱われていますが、合同会社特有の論点について少しみてみましょう。

■役員給与(業務執行社員の業務執行の対価)

合同会社の業務執行社員は、法人税法上の役員ですが、株式会社の役員と異なり、使用人兼務役員になることができません。つまり、合同会社の業務執行社員に支給する給与は全額役員給与となります。したがって、定期同額給与、事前確定届出給与、利益連動給与のいずれかに該当しない限り、損金不算入となってしまいます。利益連動給与については有価証券報告書提出会社でないと要件を満たさないため、ほとんどの合同会社は定期同額給与もしくは事前確定届出給与のいずれかにより損金算入要件を満たすことになります。

また、合同会社では、株式会社と同様、不相当に高額な部分もしくは事実を隠蔽し、または仮装して支給した部分は、税務上損金不算入とされます。当然、職務執行の対価としての給与である必要があるため、たとえば、社員の一部を業務執行社員とする場合に、経営に従事せずに単なる出資者と変わらないような非業務執行社員に役員給与を支給した場合は、全額損金不算入となると考えられます。

不相当に高額な部分であるかの判断基準は、税法上以下の①実質的基準と②形式的基準が定められています。

①役員給与の額がその職務内容等(職務の内容、法人の収益及び使用人に対する給料の支給状況、同種事業・類似規模の会社の役員に対する報酬の支給状況等)からみて不相当に高額か

②定款の規定または株主総会決議による役員給与の限度額を超えているか

②に関して、合同会社の場合は社員総会という機関の定めがないため、社員の過半数の同意により決定したのであれば、その決定の事実を書面に残しておくことが対策として考えられます。

なお、法人が社員となるケースでは、法人社員が個人の業務執行者を選任しますが、その業務執行者の給与は合同会社が法人社員に支払ったうえで法人社員が業務執行者に給与を支給しても、合同会社が直接給与を支払っても問題ないと考えられています。また、合同会社が法人社員に給与を支給する場合は、所得税の源泉徴収義務は生じません。

 

■社員の加入

社員は、①出資払込により加入する場合と、②既存の社員の持分の譲受により加入する場合があります。

①出資払込により加入する場合

<合同会社側>金銭の払込の場合は、合同会社の資本金等の額が増加する資本等取引のため、課税関係は原則として生じません。また、現物出資の場合は、適格現物出資では現物出資資産の帳簿価額相当額について、非適格の場合は時価相当額について資本金等の額が増加する資本等取引となります。

<社員側>払込金額が時価相当額なのかどうかにより、課税関係が異なります。つまり、払込金額が時価相当額の場合には、課税関係は生じませんが、払込金額が時価相当額と比較して低いときは、その差額について払い込んだ社員に経済的利益が生じます。払込をした社員が法人の場合には、有利発行により取得した有価証券の取得価額は時価であるとされ、時価と実際の取得価額との差額は受増益として認識されます。有利な価額で払込をした社員が個人の場合には、その差額が収入金額とされ、原則所得税の対象(原則一時所得、場合により給与所得、退職所得)となります。ただし、同族会社である合同会社で、既存の社員の親族などが新たに社員となる場合には、所得税ではなく贈与税の課税が優先されます。なお、有利な価額に該当するかどうかは、時価と払込金額の差額が時価の概ね10%相当額以上であるかどうかにより判定されます。

②既存の社員の持分の譲受

既存の社員の持分を譲り受けることにより新たな社員となる場合、持分の時価相当額での譲渡であれば、既存社員と新社員双方に利益も不利益も生じないことから、課税関係は原則生じません。一方、低額譲渡・高額譲渡でどちらかに経済的利益が生じる場合には、課税関係が生じる可能性があります。各々のケースによる影響がある税金が下記のとおり異なりますので、低額譲渡・高額譲渡の際には注意が必要です。

 低額高額

■利益の配当

利益の配当を受けた社員が法人の場合には、その受取配当金は益金の額に算入されますが、受取配当等の益金不算入規定の適用を受けることができます。一方、利益の配当を受けた社員が個人の場合には、配当所得に係る収入金額となります。総合課税を選択した場合は配当控除の適用はあるが、申告分離課税を選択した場合は配当控除の適用はありません。株式会社と同様の取り扱いですね。

 

■損益の分配

前回の「合同会社の会計上のポイント」で説明したとおり、損益の分配は実際の利益の配当とは異なります。定款の定めにより、利益配当請求権が発生したとき、または請求して現に受領したときに配当課税の問題が生じます。配当に係る社員の決定において、その効力発生日も併せて定めるように定款の定めをしておけば、配当課税の時期が明確になります。

利益や損失の分配を出資の価額に応じない定款の定めをした場合、その割合に経済的合理性が認められないときには、社員間の利益の移転に係る課税関係が生じうると考えられます。たとえば、共同販売事業で合同会社を用いる場合に、各社員の販売実績に応じて利益を配分する等の方法は一定の合理性があると考えられます。

 

■組織変更等

合同会社から株式会社へなどの組織変更は、一定の手続きにより可能です。会社が組織変更をして他の種類の会社となった場合、税務上は、組織変更前の会社の解散の登記、組織変更後の会社の設立の登記にかかわらず、その解散・設立はなかったものとして扱います。つまり、法人税法上の事業年度および消費税法上の課税期間は、その組織変更によっては区分されず継続することになります。組織変更前の会社の繰越欠損金も、組織変更後の会社に引き継がれることとなります。

合同会社の解散・清算に係る税務上の取り扱いも株式会社の場合と同様ですが、解散後の事業年度の取り扱いは株式会社と異なります。合同会社が事業年度の途中で解散した場合、その事業年度開始の日から解散の日までの期間および解散の日の翌日から定款で定めた事業年度終了の日までの期間をそれぞれ1つの事業年度とみなします。株式会社では、事業年度開始の日から解散の日および解散の日の翌日から1年間をそれぞれ1つの事業年度とみなすことになっています。

 

以上、税務上のポイントをご紹介しました。弊所では合同会社の税務調査対応、節税相談も受け付けておりますので、いつでもお気軽にご相談ください。

 

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公認会計士・税理士 小西慎太郎
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