合同会社のマル秘活用方法 - 不動産の証券化 その2

公開日: : 最終更新日:2015/05/20 合同会社の活用方法

今回は、不動産の証券化において、合同会社を設立し、匿名組合契約と組み合わせる方法をご紹介しましょう。

goudoukaisya

合同会社は、一般社団法人から社員として出資を受けて設立され、投資家からの匿名組合出資および銀行等からのノンリコースローンによる借入等(社債発行も可能)により資金調達を行い、不動産特定共同事業法の適用を避け、流通税を軽減するために対象不動産を現物ではなく信託受益権として取得します。このスキームのポイントは①一般社団法人の利用、②匿名組合契約、③不動産信託の活用です。

まず、①に関して、売主が合同会社に直接出資すると、売主が倒産した場合合同会社に影響が及ぶリスクがあるため、合同会社への出資者として一般社団法人が利用されます。売主は、一般社団法人に基金を拠出し、当該一般社団法人が合同会社の出資持分のすべてを取得します。一般社団法人は基金拠出者と社員(議決権保有者)の地位が分離されており、社員に売主ではなく公認会計士など第三者が就任し、売主が合同会社に対する議決権を有していない状態にすることにより、資本関係を遮断します。

次に、②に関して、合同会社を営業者、各投資家を匿名組合員として匿名組合契約を結びます。匿名組合契約では、匿名組合員が営業者の営業のために出資し、その出資は営業者の財産とされます。営業者は利益を分配しますが、損失が生じた場合にはそのてん補後でなければ匿名組合員は利益配当を請求できません。また、匿名組合員は、業務執行権・代理権を有さず、営業者の行為について第三者に対して権利義務を有しません(商535,536,538条)。

日本の法人税法は、法人格を有する全ての事業体を課税対象としているため、このままでは課税所得に対して通常通り課税されます。そこで、匿名組合契約を結ぶ方法をとります。匿名組合契約自体は単なる契約であり組合に法人格はなく、課税対象になりません。

また、匿名組合契約の営業者である法人に対する法人税の課税所得計算は、匿名組合員に分配すべき利益の額を損金算入することとされています(法基通14-1-3)。ちなみに、この取扱いは合同会社限定ではなく、法人に適用されるものです。にもかかわらず、合同会社が利用される理由としては、

A:合同会社には会社更生法の適用がないため、担保権が更生担保権とされるリスクを防止できる。

B:SPCには複雑な組織が不要なため、取締役や株主総会などが不要である合同会社がより適している。

C:合同会社は、設立・運営コストが低く、負債が200億円以上となった場合の大会社規制に縛られず、会計監査人及び監査役の設置が強制されない。決算公告義務もない。

D:合名・合資会社と比較すると、合同会社は出資者全員が有限責任である。

が挙げられます。

最後に、③に関して、不動産特定共同事業法2条および3条によると、合同会社が匿名組合契約によって投資家から出資を受け、その出資金により不動産取引を営み、そこから生じる利益の分配を行う行為を業として行うことは不動産特定共同事業に該当し、不動産特定共同事業を営むためには原則主務大臣または都道府県知事の許可が必要となります(*1)。この許可を受けるためには、資本金の額が原則1億円以上であること等の要件を満たす必要があります。SPCが許可を得るための要件を満たすのは現実的ではないため、許可が不要とされる信託受益権による利益分配が利用されています。

また、不動産を現物で売買すると、不動産取得税、登録免許税等が課されますが、信託受益権化することにより大幅節減することができます。さらに、信託受託者である信託銀行等は受託時に対象資産を厳格に審査するため、審査を通過した対象資産の信頼性が確保され、金融機関の融資が受けやすくなる可能性がある点もメリットになります。

簡単に説明しましたが、この合同会社を活用する不動産証券化の方法は、前回ご紹介した他の3つの方法よりも手続きが簡便で柔軟な仕組みが可能であることから、現在多く活用されています。

 

(*1)一定の要件を満たすSPCについては、不動産特定共同事業の許可を受けることなく特例事業者として届出により不動産共同事業を行うことが可能となるよう不動産特定共同事業法が改正され、平成25年12月に施行されています。上記のスキームを用いて、今後は信託受益権化の困難であった物件を現物のまま証券化することが可能となり、建物の耐震化、地方の老朽不動産の再生等の促進が期待されています。

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小西公認会計士事務所
公認会計士・税理士 小西慎太郎
福岡県福岡市中央区大手門1丁目8番8号ベイサージュ大手門402
HP: http://konishi-kaikei.com/

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