合同会社特有の退社に伴う持分の払戻しに関する規制

公開日: : 最終更新日:2015/05/20 合同会社の法務

今回は合同会社における退社社員の持分の払戻し規制について、簡単にご説明します。

退社した社員は、持分の払戻しを受けることができます(会社法611条1項)。払戻される持分は、持分に相当する財産、つまり、その社員が過去に履行した出資とその社員に帰属する損益になります。会計上は、持分の払戻しによって、それに対応する資本金、資本剰余金および利益剰余金が減少させられます。なお、その社員がプラスの持分を有するときは払戻しできますが、マイナスの持分の場合には、合同会社は有限責任のため、出資額を超えて支払う必要はありません

さて、持分の払戻し時には、その社員の持分に相当する財産は無制限に退社した社員の手元にもどってくるのでしょうか。

合同会社には無限責任社員がいないため、債権者にとっての引当ては会社財産のみです。社員に対する払戻しによっては、会社債権者の債権の弁済に支障が生じる可能性があるため、会社法上、退社に伴う社員の持分の払戻しについて債権者に対する一定の配慮がされています。具体的には、払戻す財産の価額と会社財産の状況との関係により、以下のような合同会社特有の規制が設けられています(会社法635条)。

 

持分払戻額 ≦ 剰余金額

特段の手続なしに払戻し可能(通常の利益配当等と同様のため)

剰余金額 < 持分払戻額 ≦ 簿価純資産額

債権者保護手続をとることにより払戻し可能(資本金の額を0円までの範囲内で減少したうえで払戻市を実施することと実質同様のため)

○簿価純資産額 < 持分払戻額(簿価債務超過の場合を含む)

持分払戻額が、資産等を時価評価し、自己のれんを計上した結果の純資産額以下であれば、清算に準じた債権者保護手続をとることを条件として払戻し可能

 

なお、清算に準じた債権者保護手続は、①異議申述期間が1か月ではなく2か月、②公告方法を問わず債権者に対する個別催告を省略できない、③異議を述べた債権者に対しては「債権者を害するおそれがない」という抗弁は認められず、必ず個別の弁済・担保提供等が必要である、という3点で通常の債権者保護手続とは異なります。

上記の規制を無視して持分を払戻した場合、その業務を執行した社員は合同会社に対して、出資の払戻しを受けた社員と連帯して出資払戻額に相当する金銭を支払う義務を負ってしまいます。ただし、その業務を執行した社員がその職務を行ううえで注意を怠らなかったことを証明した場合にはこの責任を負いません。また、この義務は免除することはできませんが、出資の払戻しをした日における剰余金額を限度として義務を免除することに関して総社員の同意がある場合にはその額は免除されます(会社法636条1項、2項)。

次回は、税務上の社員の退社による持分の払戻しに関してご説明します。

 

 

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