合同会社における社員の加入・退社の取り扱い

公開日: : 最終更新日:2015/05/20 合同会社の法務

合同会社を設立して運営するうちに、設立当初の社員が退社したり、新たに社員が増加することがあります。合同会社の社員は、いつでも好きにやめることができるわけではありません。今回は、合同会社の社員の加入と退社の取扱いを簡単にご説明します。

まず、合同会社の社員の加入については、定款の変更だけではなく、出資の履行も完了してはじめて加入の効力が発生します(会社法604条)。他の持分会社と異なり、社員が有限責任を負うため、全額払込主義を採用しています。定款の変更は、変更方法について別段の定めがない限り、社員全員の同意が必要になります(会社法637条)。なお、定款変更において新たに記載を要する事項は、新たに加入する社員の氏名または名称及び住所、その社員が有限責任である旨、その社員が出資する金銭の価額です(会社法576条1項)。

次に、社員の退社ですが、社員の退社には任意退社法定退社があり、任意退社には、①予告による任意退社(会社法606条1項)と②やむを得ない事由による任意退社(同上3項)があります。

予告による任意退社

合同会社の存続期間を定款で定めない場合またはある社員の終身の間合同会社が存続することを定款で定める場合には、各社員は事業年度の終了の時において退社することができます。この場合、6か月前までに合同会社に退社の予告をしなければならず、退社した社員は持分の払戻を受けることができます(会社法611条1項)。予告による任意退社の場合は、退社の理由は問われません。なお、会社法611条1項の規定は定款で別段の定めをすることができますが(同上2項)、各社員はやむを得ない事由がある場合にはいつでも退社することができます(同上3項)。

やむを得ない事由による任意退社

やむを得ない事由とは、定款規定を定めた時や入社・設立時に前提としていた状況等が著しく変更され、もはや当初の合意どおりに社員を続けられなくなった場合等がこれにあたるとされています。たとえば、法人社員同士の出資による合弁会社のケースで、会社経営をめぐる対立が深刻でいわゆるデットロックが起きている場合にはこれに該当するとされる見解があります。退社員の持分の払戻しが事業継続に支障をきたす恐れもあるため、やむを得ない事由は極力制限されることになると考えられています。

上記の任意退社のほか、法定退社がありますが、法定退社事由は下記のとおりです(会社法607条)。5-7については、定款でその事由が発生しても退社しない旨を定めることができます(同上2項)。

1:定款で定めた事由の発生

強行法規及び公序良俗に反しない退社事由であれば、社員の合意により定款で定めることができます。たとえば、社員の一定割合の同意があったこと、特定の社員の同意があったこと、定年、保佐開始の審判を受けたことなどが考えられます。

2:総社員の同意

ただし、清算中の合同会社については社員全員の同意があっても退社しません(会社法674条2項)。

3.死亡

死亡した社員は当然に退社し、相続人は社員になりません。なお、社員の地位は相続人に承継されませんが、退社員としての権利義務は承継されます。また、定款に別段の定めがあれば、社員の地位は相続人に承継されます(会社法608条)。定款の定め方としては、相続人が希望する場合に持分を承継できる、他の社員が同意した場合に持分を承継する、当然に持分を承継する、など柔軟な対応が可能だと考えられています。

4.合併

合併によって法人社員が消滅する場合には、その法人社員は当然に退社します。ただし、③同様退社員としての権利義務は承継され、また、定款で定めれば消滅会社の社員としての地位を存国会社に承継することが可能です。

5.破産手続き開始の決定

6.解散

7.後見開始の審判を受けたこと

8.除名

除名とは社員の資格を奪うことであり、裁判により除名判決が確定するとその社員は当然に退社します。除名事由は、A出資の義務不履行(合同会社は全額払込主義のため、基本的にない)、B競業禁止違反、C業務執行にあたっての不正行為等、D合同会社を代表するにあたっての不正行為等、E重要な義務を尽くさないことが規定されており、その対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき訴えをもって除名請求ができます(会社法859条)。

その他、社員の持分を差し押さえた債権者は、合同会社及びその社員に6か月前までに予告して、事業年度の終了時においてその社員を退社させることができます(会社法609条1項)。社員の持分の差し押さえは、その社員の持分払戻請求権にも効力が及ぶため(会社法611条7号)、社員の債権者は強制退社請求権を行使して会社財産を責任財産として引当てにできることになります。差押債権者の退社予告は、その社員が弁済または担保提供した場合には無効になりますが、そうでない場合には、他の社員の同意も必要なく一方的意思表示により可能です。退社に関して定款で制限している場合(たとえば10年間任意退社ができない等)でも退社させることができますので、新たに社員を加入させる場合には、その社員に大きな借金等がないことを十分確認しておきましょう。

次回は、退社に伴う持分の払戻しについてご説明します。

 

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