税務上の退社社員持分払戻しの取り扱い

公開日: : 合同会社の税務

今回は退社社員の持分払戻しの税務上の処理についてご説明します。

社員の退社による持分の払戻しは、税務上、出資の払戻しと同様にみなし配当事由となります。

みなし配当とは、法人税法23条上の剰余金の配当または分配等には該当しないものの、実質的に剰余金の配当と変わらないため、法人税法上配当とみなして、受取配当等の益金不算入の規定の適用を受けることができるとされた一定の金額をいいます。

合同会社の持分の払戻し時には、税務上、資本金等の額のうち、持分の払戻しに対応する部分の金額(取得資本金額)について資本金等の額を減算し、取得資本金額を超えて払戻しをした額は利益積立金額を減算します。この利益積立金額の減算すべき額が、いわゆるみなし配当となります。

具体的な計算方法は以下のとおりです。

資本金等の額の減少額(取得資本金額)A

=払戻し直前の資本金等の額 / その払戻し直前の出資の総額 × その払戻しに係る出資の金額

利益積立金額の減少額(みなし配当)

=払戻額 ー A

 

簡単な設例で、会計上、税務上の仕訳についてみてみましょう。

前提:合同会社○は、法人社員に対して持分の払戻しを行った。資本剰余金を100減少し、同額の払戻しを行った。取得資本金額は計算の結果、85であった。この場合の会計上・税務上の仕訳をこたえよ。なお、みなし配当に係る所得税の源泉徴収は捨象する。

解答:

会計上の仕訳   資本剰余金 100   /  現預金 100

税務上の仕訳   資本金等の額 85  /  現預金 100

                           利益積立金額 15

 

なお、みなし配当が生じた場合には、以下の手続きが必要になります。

①所得税の源泉徴収

②みなし配当に係る支払調書およびその合計表を納税地の所轄税務署長に提出

②に関しては、みなし配当の額が15,000円以下(居住者または国内に恒久的施設を有する非居住者に係るものについては、100,000円以下)の場合には、提出は不要です。

 

次に、持分の払戻しを受けた社員側の税務上の取扱いを確認しましょう。

持分払戻額(交付金銭等の額)が、合同会社の資本金等の額のうち交付の基因となった出資に対応する部分の金額を超えるときは、その超える部分がみなし配当になります。法人社員の場合は受取配当金となり、個人社員の場合には配当所得等に係る収入金額となります。

また、交付金銭等の額からみなし配当の額を控除した額は、出資に係る譲渡対価の額となります。法人社員の場合には出資に係る譲渡対価の額から譲渡原価の額を控除した額につき譲渡損益を認識します。個人社員の場合には、出資に係る譲渡所得の収入金額となり、譲渡所得のプラスマイナスを認識します。

みなし配当の額 = 交付金銭等の額 - 払戻し直前の資本金等の額 × 社員が有していた払戻しに係る出資金額 / 払戻し直前の出資総額

出資に係る譲渡損益の額 = 交付を受ける金銭等の価額 ー みなし配当の額 - 社員の譲渡した出資の帳簿価額

なお、実務上はみなし配当の額が所得税の源泉徴収対象のため、源泉徴収通知書により把握され、持分払戻額からそのみなし配当の額を控除することにより出資に係る譲渡対価の額も把握することができます。

法人社員の場合、譲渡損は損金の額に算入され、みなし配当は受取配当金となるため受取配当等の益金不算入規定の適用を受けられます。

一方、個人社員の場合は、譲渡損は株式等の譲渡所得のマイナスとなるため、株式などの譲渡所得のプラスとしか相殺できません。結果として、切り捨てになる可能性もあります。また、みなし配当は配当所得に係る収入金額になるため、高い税負担が発生する可能性があります。

個人社員の場合には、その税負担について顧問税理士に相談のうえ、持分の払戻しを実行しましょう。

次回は、起業時に多くの方が熟考する社名を決める際に、使用してはいけない文字等についてご説明します。

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